ヨッシー日記スペシャル




 俺の名前は古川義雄(ちなみにこの名前は阪神ファンの父親が某・ムッシューにあ
やかって付けた。分かる人だけ分かって欲しい)。
 現在、東都大学法学部2年。
 出身は東京都・都立江古田高校だ。
 自宅は杯戸町のはずれの環八(カンパチ)沿いで、駅からは少々遠い。高校のとき
はチャリ通(自転車通学)で20分だったが、大学に進学してからは渋谷と京王線の
神泉との間あたりにあるマンションで一人暮らしをしている。
 家族は両親と3歳下の妹がいるが、父親が福島に転勤なって、昨年の春から家族は
俺をおいて福島に引っ越してしまった。自宅には祖父母がいて、ときどきは顔を出し
ているけど、別に帰る必要がなければ帰らない。かわいがってもらってはいるんだけ
ど。

 趣味はこれといって特にはない。
 高校時代は野球部だったけど、ウチの母校は超弱かったし。
 大学では草野球チームに入って、週1ぐらい練習してときどき試合をしたりする。
 あとはバイトとか。
 酒は少々嗜むぐらいで強いわけではないし、煙草は大嫌い。
 …いうまでもないけど、彼女もいないし。
 将来はマーケティングとかやってみたいなぁと漠然と思っている。




 こんな平凡な俺だけど。
 気付けば超カリスマアイドル系友人とマブダチみたいな付き合いになっていて、俺
自身でも驚いた。




 カリスマアイドル系友人その1、黒羽快斗。
 高校1年のときから3年間ずっと同じクラスで、気心が知れた仲になっているのは
言うまでもないだろう。
 コイツは俺と違って、昔からやることなすこと、存在自体が派手だった。
 顔も良いが、とにかく天才って言われるほど賢くて(だけど俺も現役で東都大に合
格するぐらいの成績だったんだぞ!)、それなのに全然優等生ではなくて、授業もサ
ボる悪ガキを地でいくようなタイプ。
 話はおもしろいし、スポーツ万能で性格も悪くはない。
 そして小さい頃に亡くなった親父さんがマジシャンだったとかで、マジックが上手
くて大人気だった。
 まさにウチの高校のアイドルだったんだよなぁ…。

 そしてコイツ、こんなに恵まれている上にすっげー可愛い幼なじみまでいて。
 もちろん高校時代からモテたけど、何となくその幼なじみとまとまるのだろうなと
思っていたら。
 …大学に入って幼なじみが傍にいなくなった途端、遊びまくりだした!!
 たしかに、俺が口出しするような問題でもないんだけど。
 だけど恋人いない歴20年の俺からすれば、一体何が不満なんだと訊いてみたい!
 
 …まぁ、俺には分からないけど、何かが不満だったんだろうな…。
 
 とにかく。
 大学に入ってからも、いつのまにやら人気者になっていて。
 やはり人を惹き付けるものを持っているのだろうなと俺は思う。




 カリスマアイドル系友人その2、工藤新一。
 俺が紹介するまでもないだろう、日本全国に名前が知られた元・高校生探偵と、フ
ランス語のクラスが同じになったときには驚いて呼吸困難に陥りかけた。
 テレビや新聞に普通に顔も名前も出てしまうような、超有名な名探偵。
 やっぱ頭も良いし、容姿も極上。しかもフランス語の成績はダントツだし。
 マスメディアを通してしか知らなかった「日本警察の救世主」は、だけど素顔はご
く普通の学生で、慣れてしまえば俺たちも特別視することもなく、普通にクラスメイ
トとして接していた。
 そのカリスマ性といったら、ものすごくて。
 黒羽と違って周囲を引き込もうとしているわけでもないのに、俺たちはいつの間に
か工藤の雰囲気に飲まれているという感じ。
 そういう存在の格が違うというのは、もちろん常に感じていることだけど。
 工藤って良いヤツだし、フランス語を教えてくれるし。
 
 …なんて、思っていたら。




2002年3月17日(日)。
 先週の成績発表の結果、語学のクラスの仲間は全員そろって2年生になることが確
定した。
 ということで、めでたいのでクラスコンパをすることになったんだけど。
「ヨッシー!!!」
 学生向けの居酒屋でワイワイ騒いでいたら、大声で呼び掛けられて俺は焦った。
 そのあだ名、高校時代の友達は皆そう言うけど、恥ずかしいから大学では隠してい
たのに!
 ってまあ、それはともかく。
 何かと思えば高校時代のクラスメイト2人が手を振っていて、俺も手を振り返した
らヒョコヒョコやって来た。
「なぁヨッシー、あれって高校生探偵の工藤新一?」
 隣のテーブルにいる工藤を指して訊いてきたのが、黒羽だったか林だったか憶えて
いないけど。
 そうだと頷けば、黒羽が宴会芸なみのマジックを披露して、何故か2人はそのまま
クラスコンパに混ざっていて。
 2人とも同じ大学だし、皆がいいならいいんだろうと思っていたら、1次会の後、
気が付けば黒羽はろくに話もしないうちに姿を消していた。
 一体何がしたかったんだ、黒羽?




2002年4月11日(木)。
 今日から授業が始まったので、クラス担任の提案でクラスコンパということになっ
た。
 歌舞伎町の居酒屋で飲み放題。
 先生がおごってくれたりもするから、いつも以上に羽目を外して飲ませ合ったら、
一昨日新聞に顔が載った工藤がクラス中からの攻撃を受けた。
 ほぼ全員が飲みまくったから、工藤だけというわけではないんだけど。
 1次会は無事に終わって、明らかに酔っていた工藤も一応帰っていったはずだった
けど、俺が2次会に繰り出そうとしているところに黒羽からрェ入って驚いた。
「新一を迎えに行くから、確保しておいてくれよ」
 なんて突然言われて、驚くなというのは無理な話だろう。
 っていうか、何でお前が工藤を迎えに来るんだ?…ってそりゃ工藤自身が電話した
んだろうけど。
 疑問だらけだったけど、工藤を確保して車に乗せるまでが大変だったので訊きそび
れた。
 うーん、謎だ。




2002年4月12日(金)
 昨日の今日なのに、午前中からさわやかに登場した工藤に、クラス全員が度肝を抜
かれた。
 どういう内臓を持っているんだ、工藤?
 涼しげな顔でフランス人の先生とフランス語で会話している工藤にひたすら感心し
ている間に1コマ終わり。
 とりあえず工藤に話を聞こうと思っていたら、黒羽がやって来て。
「黒羽お前、工藤とどういう関係なわけ?」
 と訊いてみたら、とんでもない回答が返ってきて、俺は心臓が止まるかと思った。
「ラブラブ新婚カップルに見えない?」
 おいおいおい。
 恐ろしいことを言うなよ!と言いたかったが、黒羽はどこまで本気なのか、工藤の
ことを本命だとか言って、しかも散々惚気やがった。
 なんかムカつく…。




2002年5月5日(日)。
 バイトの帰り、銀座を歩いていたら偶然にも工藤と会った。
 なんだか疲れているなぁと思っていたら、1晩泊めてくれと言われた。
 別に一人暮らしだし、泊めるのは問題ないんだけど。
 工藤の家だってそれほど遠いわけじゃないし(米花町だってことは知っている)、
疲れているなら前みたいに黒羽を呼んで迎えに来させればいいのにと思ったんだけ
ど、どうやら何かあったらしい。
 いつも毅然とした工藤が妙にボロボロで、痛ましくて。
 何となく黒羽が原因なのだろうとは分かったけど、事情を訊くわけにもいかない
し。
 …せめてウチでゆっくり休めればいいんだけどな。




2002年5月6日(月)。
 疲れていたらしい工藤は昼過ぎまで起きなかった。
 工藤は何も言わないけど、黒羽とケンカでもしたんだろうと思うと、そのまま帰す
気にもならなくて、強引に飲みに誘ってみたんだけど。
 送りがてら新宿に行って、前に先輩に教えてもらった落ち着いた雰囲気の店で飲み
始めたら、工藤も重い口を開いてくれた。
「一昨日、俺の誕生日だったんだけど、快斗に教えるの忘れてて…」
 そうか工藤の誕生日は5月4日なのか、なんて思っている場合ではなくて。
「俺が幼なじみに呼び出されている間に、快斗、飲みに行っちゃってさ、べつにそれ
はいいんだけど」
 全然良くなさそうな表情で言われて、慰めの言葉も思いつかない。
 無言でワインを注いでやったら、工藤はそれをイッキに飲んで言った。
「そしたらさ〜、快斗、0時過ぎてから女の子連れて帰って来て…」
「はぁ!?」
 黒羽とは長い付き合いの俺もさすがに唖然としてしまった。
 ていうか何をやっているんだ、黒羽…?
「別に快斗がどこで女と遊んでいようと構わないんだけどっ!」
 呆れている俺の隣では、工藤が自虐的に飲みまくっていて、それはそれでどうにか
してやらなきゃと思っていたんだけど。
 そのとき、死角になっていて見えなかった席に当の黒羽本人がいるのを発見してし
まった俺は、死ぬほど焦った!
 そして必死で誤魔化そうとしたら…酔った工藤にキスされた(汗)。
 あぁ俺のファーストキス!
 いや、それよりも、黒羽これは俺のせいではないぞ!!!

 …何はともあれ。
 それが切欠となって、黒羽は工藤を連れて帰って行った。(その間にキスシーンを
見せ付けられたことは一生忘れられないと思う。)
 雨降って地固まるといいよな。





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