SWEET KISS
《SIDE K》 presented by ともり titled by りゅう 本日も朝早くから目暮警部の呼び出しで出かけていた新一から、夕食までには帰るという電話がかかってきた。
夕食の時間には間に合わないだろうと、思っていた快斗にとっては、嬉しい限りだが、何だかひどく疲れた声だったのが気にかかる。「新一っていつもギリギリまで溜め込んじゃうんだもんな」
きっと今日の事件は、新一にとって心に負担のかかるような結末を迎えたのだろう。
いつも冷静沈着な日本警察の救世主、迷宮なしの高校生探偵工藤新一、と世間で
は言われているが彼だって生身の人間だ。
事件に対して何も思わないわけが無い。
推理中は、余計な感情を差し挟まないようにしているが、終ってしまえば落ちこんでいることがよくある。
特に今日の事件は連日の事件と相まって新一の気持ちを、傷つけてしまったのだろうと思う。
その証拠に、いつもは恋人である快斗にさえ、めったに甘えてこない新一がおね
だりしていた。
特に精神的に疲れている時、新一は快斗に甘い時間をねだってくる。「新一が帰ってきたら、すぐにお風呂に入って夕食が取れる状態にしておかなきゃ!」
『シセイドーパーラーのアイス買って帰るから!!』
といっていた新一の本意を読み取って、快斗は急いで支度をこなしていく。
シセイドーパーラーのアイスクリームは、甘さもしつこくなく、後味もすっきりしていて、甘いものが余り得意ではない新一でも美味しく食べられる。
さらにいえば、普通のバニラアイスに比べて堅い。
別に冷凍庫で冷やしすぎてカチコチになってしまったわけではない。
通常の状態で固めなのである。
固めのクリームのため、口に含んでもすぐには解けず口の中で嘗める感じになる。前に快斗が買ってきたとき、口に含んだままキスをして以来、新一のお気に入りになってしまったのは、二人だけの内緒である。
「今日は、うんと甘やかしてあげるからねvv新一vv」
夕食の支度があらかた終った頃、新一が帰ってきた気配が感じられたので、快斗は玄関まで出迎えに行く。
「お帰り、新一」
「ただいま」
「疲れているみたいだね、お風呂沸いているから先に入って来なよ」
「ああ、これお土産」
「ありがとうvvデザートに食べようねvv」うんと妙に素直に答えて、新一が風呂場へ向かう。
慌ててうつむいて隠そうとしていたが、その耳が赤くなっていたことに快斗は気付く。
クスクス笑ってしまうのを押さえられない程、快斗は幸せだな、と思う。
普段から他人に頼ることを良しとしない新一が、一番辛い時や、悲しい時に自分に甘えてきてくれるのだから。
夕食後、今日は、後片付けを先に済ませてからのデザートタイムとなった。
アイスは、快斗の大好物である。
快斗は美味しそうにアイスをひとさじずつ掬っては、口の中に入れ溶かすように食べていく。
それを見ていた新一は、そのうち快斗の口元にアイスを近づけて、食べさせる。
お返しに快斗も食べさせているうちに、どちらとも無く口付け始めた。
「・・・・ん、かいと・・・・・・」
新一の甘えたような吐息が聞こえ出す。
中々溶けないアイスクリームは、二人の口の中でゆっくりと舌を絡めあって、嘗めるように溶かしあっていく。「新一・・・・」
意地っ張りな性格の新一が、自分から快斗を誘うことはまれであるが、時々こうしてシセイドーパーラーのアイスクリームをお土産と言って買ってきては、甘い
時間を快斗にねだるのである。
そのあとは・・・・・・・・。二人だけの秘密ですvvv
end