Egoist
=後編=






「え・・・?」


帰り道、急に呼びとめられた女に言われたことが理解できなくて青子は思わず聞き返してしまう。


「だから、これ以上快斗に近づかないでねって言ったのよ。」
「ど、どうしてそんなことを言われなきゃいけないんですか?あなたは・・・?」
「決まってるじゃない。快斗の恋人よ。」


くすくすと笑いながら言う目の前の女の言葉に青子は愕然とする。


「そ、そんなはずない・・・・」
「あら、信じる信じないはあなたの勝手だけどね。
これから私、彼と会うことになってるから、なんならついてきてもいいわよ?」

青子は体が小刻みに震えるのをおさえられなかった。


「噂をすれば彼が来たわ。」


女の言葉にはじかれたように顔をあげ指された場所を見ると、
帽子を深くかぶった少年が歩いてくる。


「わりぃ、待たせた?」
「いいえ。」


近くで見るその少年は、その顔も声も間違いなく幼馴染のもので。


「か・・かい・・と・・・?」
「・・・・お前、誰?」


少年は青子を冷たく一瞥してからすぐに女の方へと顔を向ける。
青子は泣きながらその場を走り去った。


「あらら、彼女泣いちゃったわよ?」
「そうみたいだな。」
「フフッ、相変わらずいい性格ね?警察の方々が知ったら卒倒するわよ?名探偵さん」
「誰も信じやしないさ・・・・」


不敵に輝く青い瞳に、女は背筋が凍るのを感じた。
にっと笑うその少年は、誰よりも美しく、誰よりもおそろしい。


「約束どおり、きちんと付き合ってあげたんだから、ご褒美もらえるんでしょ?」
「・・・・ああ、いいぜ?」


女の肩を抱きながら少年はもう一度青子が走り去った方を見やる。

まずは、ひとりめ・・・・
















「おい青子、学校着いたら数学の宿題見せてくれよ!」
「触らないでよ!」


ぽんと肩に乗せた手を、勢いよく振り払われて、快斗は目を瞬かせる。
青子はそのまま走っていってしまった。


「青子・・・・?なんなんだよ・・・俺がなにしたって・・・」
「あら、朝から喧嘩?」


振り向いたところにいたのは紅魔女。
快斗は機嫌悪そうに顔をしかめた。


「そんなんじゃねぇ・・・あいつが勝手に・・・ったく、俺がなにしたっていうんだ?」
「・・・・・あなた、あの光の魔人から離れたほうがいいわ。」
「あ〜?また占いか?」
「まじめな話よ!」


うさんくさそうに見てくる快斗を紅子は真剣な眼差しで見据える。
その様子に快斗はたじろいだ。


「はやく離れないと、ますます不幸になるわよ?」
「いいかげんにしてくれ!」


快斗は紅子を置いて走り去ってしまう。紅子は溜息をついた。


「残念だったな、聞いてもらえなくて」
「!?」


後ろにいつのまにか制服姿の新一が立っていた。
不敵な笑みを浮かべながら。


「・・・・・彼をどうするつもりなの・・?」
「どうもしないよ。あいつにはね」


顔を近づけてくすくすと笑う新一に、紅子は底知れぬ恐怖を感じた。
自分がここまで恐怖を感じることはなかった。


「あんたも手を出すなよ・・?」
「・・・嫌、といったら・・?」
「そのときは邪魔者を消すまでさ」
「・・・・悪魔・・」


にっと笑って新一は去っていった。

彼に掴まれた腕に、くっきりと跡が残っていた。





















「工藤君?お久しぶりですね」


警視庁へとおもむいた白馬は、そこで新一と会った。
もう遅い時間なので新一は白馬の好意に甘えて送ってもらうことにした。
車の中ではホームズの話題で盛り上がったが、話題もなくなり、車の中は静かになる。
白馬は外の景色を眺めている新一を見た。


(こうして見ると、やはりよく似ている。)


キッドではないかと疑っている同級生。
追いかけているうちに、徐々に惹かれていった。


「俺の顔に何かついてるか?」
「あ・・」


外を見ていた新一が白馬の方を見てにっと笑う。


「いえ、あなたが僕の知り合いにあまりにもそっくりなものですから・・」
「へぇ〜、それってお前の好きなやつ・・?」


吐息がかかるほどの距離で見つめてくる新一に心臓がはねる。
新一の顔が彼と重なって見えて、思わず息を呑んだ。


「白馬?どうかしたのか?」


クスクスと妖艶に笑う新一に誘われるままに白馬はキスをした。
それはだんだんと深いものへと変わっていく。
















工藤邸に到着して、白馬も中に入る。
そして新一の部屋のベットに新一を押し倒した。
行為に没頭する白馬にすでに新一は見えてはいない。
彼が抱いているのは新一に重ねた愛しい人。
白馬の行為に反応しながらも、新一の頭は冷静に動いていた。
今日はあいつが来る日。もうすぐ・・・・


「なにやってるんだ?白馬」


その声に白馬は我に帰った。


「くろ・・ばくん・・・なぜ・・・」
「質問に答えろ。なにをしている」


冷たい瞳で見つめてくる快斗に白馬は目に見えて青くなった。


「黒羽君、僕は・・・」
「これ以上怒らせたくなかったら、ここから出ろ。」
「くろ・・」
「早くしろ」


有無を言わせない快斗の物言いに、白馬は散らばった服を着て部屋を出て行く。
やがて外からエンジン音が聞こえ、遠くへと消えていった。


「どういうつもり?」
「別に・・?」


ベットに腰かけ、尋ねる快斗に対し、新一は終始微笑むだけ。
快斗の胸元をひいて自分の方へ引き寄せ、新一は触れるだけのキスをした。


「なあ黒羽、口直し、してくれねぇの?」


首に腕をまわして囁いてくる新一を強く抱き寄せ、何度もキスをした。
やがてふたり、シーツの中へと沈む。
















どうしても欲しかった。
なにをしても。誰を傷つけても。
それがエゴだってことは、自分でもわかっている。
それでも
自由に空を翔ける白い鳥を、自分に繋いでおきたかった。
手に入れたら、
もう二度と離さない・・・・・





















隣で睡眠をむさぼる新一の髪をそっとなでる。
まるで快斗を離さないように手をぎゅっと繋いでくる新一に苦笑する。


「青子や白馬を傷つけてまで、俺が欲しかった・・?」


本当は最初から気づいていた。
名探偵が自分をどんな目で見ていたのか、なんて。


「最初から盗まれていたのにね」


俺の心なんて。


そっと額にキスをおとす。新一が小さく身じろぎした。


「今度はなにするの?もうしばらく付き合ってやるよ。」


そして、もっと俺だけで頭をいっぱいにして・・・?






02/1/18
END







アハハハ・・・(乾いた笑い)キャラの皆さん、ごめんなさい(汗)
しかも一番の悪人は快斗くんだし・・・
こんな感じでいかがでしょうか、りゅうさま?


リクを聞いて下さって、ありがとうございます♪
もう、うっとりです。ツボだわぁ〜!悪人新ちゃん。
快斗君がそれ以上に悪人というのも堪らないです。
ぜひ、また地雷踏んで下さい!(←鬼?)


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