晴れた暑い日、外で水をまく。
とても気持ちよくて
快斗の腕の中に居る時ぐらい、好きな俺の時間。
なんだけどね・・・・・・・。
我儘な俺様 by 夏月様
暑くて、暑くて、あっつくて!!
クラ―がんがんに効かせてリビングに篭っていたら快斗に「・・・・・いいかげんにしたら?」
って言われて、何がなんだか分からないって顔したら
「いいかげんにしないと体壊すぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
って追い出された。
こめかみピクピクさせて言うその様子にあっけに取られて
いたから反撃も出来やしなかった。言われるまま、掴まれる
ままに庭に追い出されてホースを手渡されて、今に到る。
あつい・・・・・・。
じとっと肌に汗が吹き出るのがわかる。
ミンミンと都会にあるまじき蝉の洗礼まで受ける。
こんな暑いなか俺に外に出ろとは・・・・・快斗め絞める!!
などと考えていたら快斗も出て来た。「ほら、ぼさっとしてない。」
サンダルを突っかけて水を出しに行く快斗。それを引き止める
ように「か・・・・・・・」
「何?何か文句ある?」
文句の一つでも言ってやろうと呼びかけようかとすれば、すか
さずそれを察知した快斗にニコなどと言う擬音がつきそうなほ
どの笑みを向けられ口をつぐむ。「大体さ。新一は冷やしすぎなんだよ部屋。」
「っう。」
「適度に冷やせばいいのに、それ以上に冷やしてさ。俺は夏だっ
て言うのに長袖なしじゃいられないもんな。」快斗は家の中では着ていた長袖のシャツを脱ぎながら小言を続ける。
「新一もそうでしょ?その上それだけじゃ寒いのか、毛布まで引っ
張り出してきてぬくぬくしてるんだもん。毛布って冬の道具だよ。
解ってる?」「むむむむむぅ。」
言いたい事があるのに先にそんなこと言われたら、何も言えないじ
ゃないか。うじうじ・・・・・・・。
ああ、俺が悪いんだよ。解ってるよ。
でも、夏に毛布って気持ちいいいんだぜ。
せっかくクーラーっていう文明の結晶があるんだし、夏に冬体験なん
て贅沢してみても良いじゃないか。最高の贅沢って感じで好きなんだ
けど俺。「ハイ、唸ってないの。」
快斗は俺の頭をなでなでしながらそう言う。
「ガキじゃない!!」
何かそうされるのが気に食わなくて、邪険に快斗の手をどかした。
振り払われた手を気にした様子もなく快斗は笑っている。「はいはい。ガキじゃないんですよね名探偵は。ガキじゃ考えないよう
な事、今思っているんでしょ・・・・・しょうがないな。」「・・・・なんで解るんだよ。」
ムカ。むすっとして聞いてやった。
「何でも解るって言いたいところなんだけどね。今新一が考えている事、
耳タコぐらい聞かされたもん。どうせあれでしょ・・・・・。」「なんだよ。」
「人間が神様に打ち勝つために作った文明の結晶だとか言う・・・・クー
ラーの凄さについて。」やれやれなんて肩を上げて呆れる仕草をする快斗にますますムカツク。
何か仕返しを・・・・「大袈裟だよ新一は。確かにねクーラーは便利だと思うよ、ふうー。でもね
適度に使ってこそ人間の凄さがあるんだと思うわけね・・・・・解る?」説教か?偉くなったもんだな快斗・・・・・。
目がだんだん据わっていく。そうだ。
これで仕返ししてやる。
目にとまったのは俺の手に乗せられたホース。「だからねそんな不健康な楽しみに耽っていないで、健康的なことしよう
よ。」「なんだよ。」
「夏らしく涼しくなる方法。これも古典的かもしれないけど、人間の知恵だ
よ。ねっ。」ウインクが決まる。
ふんっ。今に見てろそんなに涼しくなりたいなら涼しくしてやろうじゃねえ
か!「・・・・快斗。わかったから、早く水出せよ。」
「わかってくれたv」
今の俺は嬉しそうにそう言う快斗に興味はない。
「早く出せ。」
「わかったから待ってって。」
それを受けて走って蛇口に向かう快斗。
手をかけて捻る。
軽い振動がしてホースがうねる。
もう少し。
もう少しで涼しくしてやるからな・・・快斗。
にやっ、会心の笑みが。
バシャ!!
「わぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴をあげた快斗に顔が緩む。
作戦成功vvv
勢いよく流れ出した水を頭からかぶった、濡れネズミ快斗の出来上がりv
「どう?涼しくなったか?」
「しん、いち〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
大きな声で名前を呼ばれたって、なんてことはないもんね。
「快斗。本当に古典的だけど効果覿面だなvv」
「誰がこんなこと薦めたんだよ。」
ぷりぷり怒っている。顔、真っ赤だぜ。
「快斗が古典っていったから、てっきりさ。えっ、違うのか?」
快斗の様子が愉快で、わざと怒りを煽って楽しんでやった。
「ムムムムム、違うの!!」
「何が?」
「だ・か・ら、俺は庭に水まいて外気を下げようとしたんだってば。夕方
になって気温も下がったし。」わかっているよ。
「そうなのか・・・・・。俺の勘違いだな。」
って言葉にするんだけどね。
盛大に笑ってやって。
それから俺は茹蛸になっている快斗をほって置いて、ゆっくり庭に水撒き
をしていく。
小さい頃はこうやってよく水撒きなんかして夏を過ごしたのだから快斗の
言いたい事なんて、わかっていた。
わかっていての意地悪。
なんていったて、俺を暑い外に引っ張り出したあいつにはそれなりの報復は
受けてもらわなきゃいけないだろう?
まぁ、こんな過ごし方も夏のいい所だって改めてわかったよ快斗。
快斗の犠牲の元にだけどな。
君と過ごす夏の一コマ。
思い出のアルバムに一枚増えたってか?
きらきら光を受けて輝く水の子達
虹でも作ろうか・・・・・
そんな風に雰囲気に浸っていたら、何処からともなく快斗の声が。
「覚えてろよ新一。夜寝れると思うな・・・・・今以上に熱くしてやるから
なぁぁぁぁ。」なんて叫んでいるのを耳に止めて笑みを深くする。
望むところだ。
そんな熱さは嫌いじゃないぜ・・・・・・。
直接は言いはしないけどな。
快斗の犠牲に報いてやるか。
俺様な俺に付き合ってる、哀れな奴にさ。
END
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